俺の話は聞かなくていいからArgonavisのCYANを聴いてくれ

5月に書いてたが出すタイミングを逃したのでなんか恥ずかしくてお蔵入りしていたCYANの激重感想文だぜ!!

 

というわけで話をさせてください。Argonavisの2ndアルバム『CYAN』の話をさせてください。

 

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なんならファーストアルバムから聴いてほしい。

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まあ、まず、暇な人はとりあえず聴いてみてほしいんですよ。このCYANってぇアルバムはやばいんですよ。オレはプロジェクトで一番好きなバンドはGYROAXIAなんだが、もうそういう何が推しとかって問題ではない。なぜならこのアルバムはなんかもうコンテンツのバンドのアルバムとかそういうんじゃない、バンドのアルバムとしての完成度が高すぎてアルゴナビスのオタクであるにもかかわらず何も知らずにいちバンドとして出会って曲を聴いてえ〜いいじゃん…って思ったときの存在しない記憶が発生している。その点においてコンテンツのことを何も知らない人にこそ聴いてみてほしい。というかこんな話を聞かずに本当にとりあえず聴いてこんな記事のことは忘れてほしい。

なんだけど、なんだけどその上で、このアルバムはArgonavisというバンドの、fromARGONAVISというコンテンツの、株式会社アルゴナビスという会社の、一世一代の覚悟と、それを選ぶ恐怖と、バンドで音楽をやる喜びが全部詰まってるんですよ。それが伝わってくるんですよ。

どういうことかっていうと、何も知らない人に向けて説明すると、アルゴナビスっつーのは音楽、アニメ、ゲーム、ライブ等々で展開してバンドをやる男の子たちを描くっていうコンテンツで、元はブシロード屋さんのバンドリ先輩にお名前借りて、その男子版として始めたんですね。まあ全然世界観は繋がってないんでノウハウだけ借りてるって感じなんですけど、ライブやってアニメやってゲームやってってどんどん展開してきたんですね。

 

で、そのアプリゲームが一年でサ終したんですね。

 

だもんだからオレは初対面の人とかに「今はアルゴナビスにハマってます〜♪」って自己紹介すると

「あっ……お疲れ様です。ご愁傷さまです」

みたいなお気遣いをいただくんですね。ところがそれを言われたオレは

「えっ何が?」

になるわけなんですよ。

 

サ終……………………………………そんなんあったな。

 

今が楽しすぎて忘れていた。

 

いや、もちろんサ終はメチャクチャ悲しかった。

そもそもサ終が発表された日がArgonavisの函館凱旋ワンマンライブの前日で、オレは現地には行けないものの友達とホテルに泊まりに来てライブ前に優雅なひとときを過ごす予定だった……ウキウキでチェックインしてしかも空いてたからとスイートに通されてオレたちは非常にはしゃいだ……そして……そのことをツイートしようとツイッターを開き……………オレたちはサ終のお知らせを見た……………

そして………………………スイートルームで通夜になり数十分後…………………

 

「株式会社アルゴナビスを設立します」

 

 

全然意味が分からなかった

 

いや未だにかなりよくわからないが、とにかくコンテンツが終わるわけではないようだった。

オレたちはあまりの意味の分からなさに爆笑し、しかし混乱と不安と少しの希望を抱えたままワンマンライブを迎えた。

そしてライブ後にプロデューサー、もとい、株式会社アルゴナビスの社長に就任するとかいうなんかキャストよりよっぽどバンドマンみてえな感じのお兄さんが登壇し、オレたちにこれからのことを説明した……

 

社長「株式会社アルゴナビスを設立します。アルゴナビスは終わりません。ライブも曲のリリースもグッズ展開もあるし、次のアプリ作り始めてます。

あと1月2日に全バンド集まるライブやります」

 

オレたちはあまりの意味の分からなさに爆笑し、「おもしれー会社…………」が局地的流行語になった。

 

それ以来というものの、株式会社アルゴナビスが何かするたびにオレは混乱と爆笑とともについてきた。

「このプロジェクトがどこまでいけるのか見たい」

キャラクターコンテンツとして、音楽コンテンツとして、バンドとしてどこまでいけるのか。この世界でどれだけ戦えるのか。どれだけの人々にそれを届けられるのか。

それを見たい。

フィクションにもう依頼心は持たないと絶望していたオレが、何気なく始めたゲームのキャラクターやストーリーへの関心だけでなくこのコンテンツに惚れ込んだのは、ライブで「こんなに全員が本気でいいものをつくろうとしてる場所がこの世界にはまだあるんだ」と思ったからだった。

2021年3月、CROSSINGで、里塚賢汰が旭那由多に出会ったときのような、衝撃と可能性を感じた。

それからたくさんライブや楽曲やストーリーを見てきた。期待が外れたことはなかった。常にこちらの予想を超えていいものを届けてくれた。

2022年5月、DIVE into CYANで、七星蓮がArgonavisで感じたように、ここには自分の居場所があると感じた。

ライブのたびに、自分がもう以前の自分じゃないと気づいた。

人生が楽しかった。もしかしたら今までで一番。

 

 

順風満帆ではなかったアルゴナビス。バンドとしても、 プロジェクトとしても。

本格始動した矢先に、COVID-19でライブができなくなって、ライブを再開してからも、ずっと制限下でやってきた。配信ライブもやった。アプリのことを抜きにしたって、採算なんてとれるわけない。それでも、「バンド」をやりたいコンテンツだから、ライブを続けてくれた。見るたびに本当のバンドになっていくのを感じた。「バンド」を本当に作りたくて、全員が本気なんだってことを、出会ってから大した期間じゃないけど、すごく長く感じるくらい、見てきた。

2022年1月、5バンドが全員揃って演奏して、本当に嬉しかった。

見れなかったかもしれない光景。もう見ることができないと、一度は本気で思った光景。

でもそれは最後の夢じゃなくて、ライブタイトルの通り、『始動』だった。

 

 

そんな歩みが全部詰まったアルバムがこの『CYAN』というアルバムなわけですよ。

ええ、ようやくアルバムの話です。いや、本当にね、こんな過程なんてすっ飛ばして聴いてもらっていいというかむしろ何も知らずにアルバムを聴いてほしい。じゃあなんで書いたんだ?テンション上がっちゃって……。

 

というわけでここからがようやくCYANの感想です。

さっきまでの文章のとっ散らかり具合や感情の重さなんて序の口だってことを見せてやりますよ。Freestyleな感想兼自分語りでも楽しく読める人は読んでね。

 

 

 

1. きっと僕らは

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2021年11月に公開された劇場版『流星のオブリガート』の主題歌。TVアニメの内容を再構成したいわゆる総集編映画だったが、舞台版(後述)と同じくこの曲を通してアニメのストーリーを振り返るような内容。

Argonavisにとってはおなじみユニゾン田淵提供曲で、TVアニメOP『星がはじまる』の正統進化版という感じ。Argonavisの爽やかでキラキラして少し不思議な雰囲気が詰まった、「僕達がArgonavisです!」という自己紹介のような曲。とはいってもセカンドアルバムなんで、ファーストアルバム(TVアニメ使用楽曲が主)の「Argonavisでこういうことをしたい!」という初期衝動を、改めて立ち止まって振り返った上でさらに踏み出したような、劇場版の主題歌にぴったりの曲。

多幸感……本当に多幸感がすごい。劇場版のOP映像もよかったし……

でもこのアルバムにおいては少し意味が変わってくるっていうか、TVアニメのストーリー時点での船出の曲としての多幸感だったのが、このアルバムにおいてはまず1曲目としての『きっと僕らは』であり、そして、13曲目でもあるように感じて、あの函館でのきっと僕らは、劇場版主題歌のきっと僕らは、アルバム1曲目のきっと僕らは、アルバム13曲目のきっと僕らは、それが全部違って聴こえる。それが全部違って聴こえる理由が、このアルバムに詰まっている。

 

2.可能性

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アニメ『ぼくたちのリメイク』のED。

こないだの番組で「可能性からArgonavis、グッと変わったよねえ」という話をしていたと思うが、本当にそうで、このあたりからなんていうかArgonavisの曲が自分ごととしてすごく響くようになってきたのをなんとなく覚えてる。オレはいつも苦しんでいるがぼくリメを見ていたときもいかんせん仕事が近いもんでアギャギャギャギャ……となっていたし嫌な記憶を振り返ったりしてしまって、まあぼくリメという作品の内容もなんだけどぼくリメとアルゴナビスのテーマ性みたいなものが重なっていて、その部分がすごく自分に刺さったし、それまでジャイロやイプシとかと違ってどちらかというとArgonavisの曲はそんなに感情移入していなかったのに、この曲からArgonavisとオレの距離がグッと縮んだ感じがあった。し、苦しむオレに刺さったということは今のArgonavisひいてはアルゴナビスのもがいている現状にとても響いてくるってことだ。

 

3. Anthem

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舞台版、通称ナビステの曲。

TVアニメのストーリーを1本の舞台にまとめていて、劇場版の『流星のオブリガート』と概ね内容は同じなのだが、ナビステは本当にうまくまとまっていてさらに舞台としての魅力もすごかったし演奏も素晴らしかったので、アルゴナビス入門としてはナビステがかなりオススメです。

ナビステを見たときの呆然とした「なんかとんでもねえすげーもんを見た…」という気持ちも思い出して、アルゴナビスというプロジェクトの凄みというものを振り返れる曲でもある。

『きっと僕らは』と似た立ち位置でありながら、あちらが多幸感に溢れるのに対してこちらはもう少しギラついた感じというか、泥臭さを感じさせる。虹がかかる中、水たまりの泥が跳ねるのを気にせず駆け出すかのような。『きっと僕らは』が少し俯瞰の視点のArgonavisだとするとこっちはもうすこし一人称寄りの感じ。

キラキラした感じとは裏腹の泥臭さもArgonavisの特徴というか、同じく泥臭さや力強さを感じる『JUNCTION』と曲順としては対称というのもまたいい。

 

4.心を歌いたい

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イトマサ(※ボーカル)の友達の人ことセンチミリメンタル温詞くんの楽曲提供。5月6日のワンマンライブ前日に出されたボイスドラマの中で登場した曲で、ライブでもトリ曲だった(アンコール除く)。

ボイスドラマで流れてきたときは本当に鳥肌が立った。まずボイスドラマにEDが流れるってなんだよ。これからどうしようか悩んでいるArgonavisとアルゴナビスの気持ちが本当にストレートに反映されてて、ボイスドラマのストーリー、ライブのストーリー、プロジェクトの辿った道や置かれてる状況をここまでうまく繋げて昇華してるのがすごい。

この曲のAメロの七星/イトマサの歌い方が大好きなんだが、特に2Aの「冷めないまま 夢抱いてく 思ってたより 難しいよな」という部分が歌詞もたまらなく好き。ほんとだよな、難しいよな…ここの後ろで鳴ってるピアノも好きなんだ…

「伝えたいよ」のところはライブでも感情がメチャクチャになってしまったし、音源でも何度聴いてもグッとくる。七星/イトマサの歌声の圧倒的なパワーを一番ストレートに感じる、単体でも非常にパワーのある曲。

アルバムの構成としては、等身大の泥臭さのある『Anthem』からこの曲でグッとArgonavisというバンド及びメンバーの内面にカメラが近づいて、まだピントが合わないままいろんなことを抱えて考えて感じているのが見える。

 

5. 僕の日々にいつもいてよ

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同じく温詞くん曲。アコースティックツアーで披露されてからとても好きで楽しみだった曲。

曲調としても歌詞としても歌唱としても、この曲からArgonavisというバンドの質感がいっそうリアルになっていく感じがある。温詞くんらしさがすごくうまくハマってArgonavisの実在感を作った感じ。

全体的に七星/イトマサの歌い方がメチャクチャ好き。歌詞とメロディのリズムの感じがとても好みで、コンテンツの曲として出会ってなくても絶対にメチャクチャ好きになっただろう曲のひとつ。

ラブソングだけど、ラブの範囲が広くとれて、もうなんならオレからアルゴナビスへのラブのイメソンかな?となる。でもラブソングって部分以外も、すごく共感できる日々の不安や凝り固まった自己防衛が大切な相手に出会って溶けてく感じとか、本当に身に覚えがある。やっぱりオレとアルゴナビスの歌じゃん……君が好きだよ……

 

6. Y

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既にメチャクチャ好きなのに聴くたびに「こんなにいい曲だったっけ…!?」となる異常な曲。ヴァンガードのED。

切ないラブソングっぽい歌詞と軽やかで澄んだ曲調のマリアージュが何度聴いてももっと好きになるし、喉越しの良さの割に苦さが残るところもArgonavis/アルゴナビスらしい。JUNCTION(野外ライブ)のときの航海くんのことを思い出して兄さん…ってなる曲でもある。

これもやっぱりオレ→アルゴナビスの曲では?「移ろう季節の中で 居場所を作ってくれた」って本当にそうだよ。たくさんの幸せを教えてくれたよ……現在進行系だよ……

しかしまあArgonavisにしてはそんなに特別特徴がない曲だと思うんだけど好きな曲としては上位に来るので、逆に面白い曲だな…と思う。TAKEさんはやっぱすげえよ。

『僕の日々にいつもいてよ』と続いて、Argonavisの歌の世界観を作っている航海の感覚で見えている世界にどんどん近づいていく感じ。

 

7. 迷い星

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中村航先生による星空パレード(オレがメチャクチャになった兄弟イベント)へのアンサーソング?????

曲調としては切ないJ-POPっぽい感じだけど細かい音が兄弟の幼少期を自然とイメージさせるような、絵本のような世界観の雰囲気も感じさせる。ホントに丘の上で星を見上げてるみたいで、鉛筆のタッチで描かれた幼少期の兄弟の映像が浮かぶんだよな。

なんかマジでこの曲はびっくりしちゃった。的場航海、お前そんなにか。って思ってちょっとアルバムから浮かないか?と一瞬考えたが、でも航海の兄さんへの気持ちとか兄さんが航海に与えたものっていうのは星空パレードのストーリーから分かるようにこのArgonavisってバンドの根幹ではあるんだよな、って思うとむしろArgonavisの内面に迫っていったときに作詞担当である航海からこれが出てくるのは当然なのかもしれない。航海から兄さんへの気持ちのようでいて、兄さん自身の旅のことを歌っているように感じる部分もあって、本当に航海の詞は恐ろしいよ…。

 

8. BLUE ALBUM

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大好きすぎる。Argonavisの曲で一番好きなギフトに迫る勢いで好き。この曲を最初に聴いたとき本当に泣きすぎて動けなくなった。次の曲にいけなくて一旦休憩挟んだ。

歌詞の全部が分かるんだよな。最近自分が感じていたことが全部書いてあるみたいで……それがこんな明るい曲にのせて歌われてて、最近感じていたハッピーな気持ちが本当にそのまま歌になってるみたいだった。

特に好きなのは「失ってばかりと思っていた うまくいかない旅路で 大切な宝物 僕は手にしていた」のところ。あと、「欠片」を「ダイヤモンド」って読むところ。ここの歌声も大好き。

これが万浬くんをフィーチャーした曲だっていうのもまた良い……万浬くんの「みんなのこと好きになってきちゃった」が大好きだし、私も万浬くんのこと、アルゴナビスのこと、大好きになっちゃったからな……白石農場でめっちゃハッピーなMVを撮るところを想像しちゃうな……

この曲はなんていうか、『僕の日々にいつもいてよ』とは別の方向性ですごくリアルなバンドっぽさを感じた。なんだろうな……こういう、曲調としてはハッピーなんだけど歌詞のポジティブさの重みがリアルに感じられる曲ってメチャクチャ好きなんだよな……ナビバでシュガーソングとビターステップのカバーを聴いたときもそんな感じのことを思ったけど、ちょっと曲のテイストとしては近いかもしれない。

『迷い星』で内面に迫っていってその中心から見上げた夜空を捉えてから、広い青空と続く地平にカメラが時間ごと移る感じ。

 

9. Reversal

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ライブで聴いてすぐ惚れた曲!!!!!!

本当にかっこいい。JUNCTIONもだけど、Argonavisがこういう曲やるのめっちゃ好き。

イントロのギターが好きすぎてライブのアーカイブずっとこの曲のところ見てて最終的に耳コピチャレンジしていた…

七星と凛生のツインボーカルで、凛生/森嶋さんの歌声がアルバム全体の中でいいアクセントになっててそこもすごく好き。アスタリスクのカバーで凛生の低音ラップ大好きだったからオリジナルでこんなかっこよくやってくれたのもメチャクチャうれしい。低音だけでなくサビの張り上げるところもよくて、結人/ひゅーすけとはまた違う形で七星/イトマサとの声の相性がすごく良い。

サビの「溺れていたいよ でも抜け出たいよ」が歌詞も歌声も本当に好き。

「くたびれ果てた情熱を引きずり出せ!」

そうなんだよな。アルゴナビスプロジェクトの歌たちってそれをしてくれるんだよ。

いい意味でアニソンっぽいというか、タイアップっぽさがある。「少年」が主人公になってる客観視点の曲でカメラが引くんだけど、テンションとしては熱くてそのギャップがすごく凛生っぽい。作曲担当なだけあって、自分が直接モチーフになるというよりは、むしろカメラマンとしての熱さというか、航海の主観と凛生の客観が交互に逆転(まさに!)しあっている印象で、二人の関係や凛生と蓮の共鳴が見える。

 

10. JUNCTION

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カメラが世界の過酷な広さに向き、敵としての他者が登場する。

と言っても、結人は他者を通して自分の内面がようやく確立できるタイプだから、結人の戦いの相手は他者でありつつ自分に向いていく。それに直接手を出すというより戦えるフィールドを整えていくような航海の歌詞、凛生の曲、万浬の力強いドラムと、歌声を重ねて背中を支える七星という構図が見える。

書き下ろし曲が続いた流れからリリース順としては前に遡ってくるが、ダブエスのイベント及び野外ライブのときは主に結人の曲だったのが、このアルバムにおいてはある意味全員が結人と同じように他者/外界に晒されていく立場に立たされていく流れを表現しているようなポジション。

結人のハモリがメチャクチャ好き。この曲だととくに色っぽいんだよね。

『Reversal』の凛生の歌で新鮮味を感じたあとに、蓮と結人が全力で闘志の燃える歌声を重ねるという流れがすげー良い。

 

11. リスタート

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ここでグッとトーンを落として、リリース時期としても更に遡り、炎を燃やしたあとにスッと静かになり雪景色を回顧するような大胆なカメラの切り替えが良い。

「好きな曲の途中でもう 次の電車やってくるんだ この街じゃさ」という歌詞が何度聴いても秀逸すぎて、分かってるのにふと泣いてしまう瞬間がある。

あと、アコースティックツアーで散々聴いたからこそバンドでのリスタートがメチャクチャじーんとする。

函館ワンマンでのリスタートは、サ終発表と株式会社化の詳細がわからない中でのリスタートで、こちらに希望を抱かせてくれるため、彼らが希望を抱くためのリスタートだったな、と思うんだけど、このアルバムでもう一度聴くリスタートは、彼ら自身が本当に「リスタート」して、歩き始めたからこその覚悟とか、ままならなさとか、今何を語りたいのかがより迫って感じられる。

でも「自分らしさは選べないからさ 僕らはありのままでいい」「白く染まらない東京で僕らのまま輝けるように歌う」って言葉が、今までの失敗とか後悔とか全部ひっくるめて、自分自身であることを肯定しているようで、改めてグッとくるし、その部分が次の曲に繋がっていくのがまた良い。

 

12. 命のクリック

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なんかもうArgonavisの歌としても、自分のための歌としても、アルゴナビスプロジェクトを作ってる人たちの歌としても聴こえて、なんか結局オレたちは同じものを見ているのかもしれないよな。

「終わらせようとしてたのは僕らの方」って言葉が、何かがかけ違っていたら、何かがひとつ足りなかったら、このプロジェクトは本当に終わってたんだな、っていうことを改めて突きつけてくる。でも、「まだ終わっちゃいない」とページを増やしてきた、それはプロジェクトスタッフ自身であり、キャストであり、キャラクター自身であり、物語自身であり、もしかしたらオレたちファンが増やしてきたページなのかもしれないと思った。

自分だけの物語は簡単に閉じれても、読者がいるとそうはならない。そうはできない。

だからライブでこの曲を聴いたとき、一番強く思ったのは「これは私が望んだことなんだ」ということだった。つまり私が選んだことなんだ。我々ひとりひとりの意志で選んで、この物語はまだ続いているんだ。

オレが要請したんだから、オレはこの物語に責任がある。同時に、この物語を続けて、それを見届けてくれと望んだアルゴナビスにも、オレたちへの責任がある。私がDIVE into CYANで感じた「居場所」っていうのは、たぶんその責任こそが作っていた。

 

TVアニメの、凛生の加入する回で、凛生が加入をやめようとして「君たちに迷惑はかけられない」と言ったとき、蓮くんは「迷惑かけたって、かまわないと思う」と返した。

あのシーンがすごく好きだった。アプリから入ってTVアニメを見る頃には、もうとっくにアルゴナビスプロジェクトのことを好きになっていたし、キャラクターにも物語にも曲にも魅力を感じていた。けど、アルゴナビスという作品を本当に好きになったのはその台詞を聞いたときだと思う。この物語を信じてもいいと確信したのはそのときだった。

迷惑かけない範疇でなら自由が許される、じゃない。本気でやるなら、きっと迷惑はかける。けど、それに最大限誠意を尽くして、責任を取る。お互いに。Argonavisはそういうバンドで、もしかしたら他のバンドも根本的にそれは変わらなくて。

たぶん私はずっとそういうことがしたかった。それがなりたかった自分だった。

でも、「辿り着いた今日が望んでた色じゃなくても それを綺麗だと思う人がちゃんと見てる」っていう、『命のクリック』の歌詞を聴いて、なんだろうなあ。腑に落ちたような……背中の貼り紙を指摘されたような……どうにも見つからなかった探し物が、不意に出てきたような気持ちになった。

最近何度も感じてたことだった。

自分のことが大嫌いで、自信がなくて、みんな私を嫌いになるだろうと思ってて、人を信じられなくて、なりたい自分がとてつもなく遠くて、なりたかった自分がとてつもなく遠くて、自分にはなんにもない、なんにもできない、なんにもなれないってずっと思ってた。

でもそんなことなかった。

熱に浮かされて、アルゴナビスを、ジャイロを、ファントムを、フウライを、イプシを、みんなを好きになって、いつのまにか、怖かったことができるようになって、いろんな人に出会って、みんなを好きになって、私を好きになってくれる人もいて、好きな人の言葉を受け取れるようになって、気がついたら、たくさん呪いが解けていた。

ナビバで紫夕くんを見て思った。

「楽しかったね。きっとこれからもっと楽しくなるよ」

「つらかったね、今まで」

「きっとこれから楽しい日が増えてくよ」

紫夕くんに対してそう思ったとき、大嫌いだった自分に対しても、素直にそう思うことができた。

夜会でフェリさんが言ってくれた。

「変わりたいと願うすべての者の味方だ」

 

 

「弱い僕達の歌を聴いてください」

DIVE into CYANで言っていた、蓮くんの言葉。

一緒に、少しずつ、もがいて歩いてきた、弱い自分とアルゴナビス。

思い描いてた人生じゃなかったし、アルゴナビスも、思い描いてたプロジェクトの進み方ではなかったんだろう。

けど、アルゴナビスの、Argonavisのその姿を見てオレは、俺は、私は、綺麗だと思う。

Argonavisは、この消えない苦しみを「本気で生きてる証だ」と言ってくれる。

 

この物語を何も知らない人にも、この音楽が届いてほしいと思う。

本当に聴いてほしい。こんなにいいバンドがここにいます!ってたくさんの人に言いたい。それで誰かが少しでも楽しいなとか、何かを思ってくれるといい。ここで語ったこと全部抜きにして、最高のアルバムだと思うから。

でも、自分にとっては、アルゴナビスがアルゴナビスで、俺が私だったから、だからこそ、このアルバムが本当に本当に本当に大事なものになった。

あのとき、もう何もかも嫌になっていたあの頃、友達の言葉にのせられて興味を持ってなかったら、知らないままだった。

アルゴナビスがバンドじゃなかったら、本当に演奏してライブをしてなかったら、ライブに行こうとは思わなかった。

一人じゃずっと自分を、世界を呪ったままだった。

アルゴナビスが好き。本当にありがとう。

ずっと大好きでいたい。できるだけ長く。

この誠意に、本気に応えたい。

彼らに応えてくれる世界であってほしい。

彼らに応えてくれる世界にしたい。

 

オレは…………………………………やるぜ。

何からすればいいかは分からんけどな。

でも何もできないわけじゃないらしいから。

 

弱い僕らだけど、優しさや強さを、一つずつ音符に、言葉に、歌声に。

そういう風にやっぱり生きたいんだよ、俺は。

これからも人生は続く!